大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 昭和49年(ワ)1191号 判決 1975年10月01日

原告

門内千尋

外二七名

右訴訟代理人弁護士

宮武太

外一〇名

被告

右代表者

稲葉修

右指定代理人

渡辺剛男

外二一名

主文

原告らの請求をいずれも棄却する。

訴訟費用は、原告らの負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一、原告ら

被告は、原告らに対しそれぞれ別表(一)郵便貯金額等一覧表の損害額合計欄記載の各金員及びこれに対する昭和四九年二月一日から完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。

訴訟費用は被告の負担とする。

との判決及び仮執行の宣言

二、被告

主文と同旨の判決

なお、原告らの請求を認容し、これに仮執行の宣言を付する場合には、担保を条件とする仮執行免脱の宣言

第二  原告らの請求原因

一、原告らは、大阪市またはその周辺に居住し、勤労によつて得た所得の一部をさいて別表(一)郵便貯金額等一覧表記載のとおり郵便貯金をしている者であり、昭和四七年六月三〇日現在におけるその元金額は、同一覧表の該当欄記載のとおりである。

二、昭和三六年初から昭和四〇年末にかけてのわが国の消費者物価の上昇率は、年平均6.2パーセントであつたが、その後も昭和四七年末までは年平均約5.5パーセントの比較的安定した状態で推移していたところ、昭和四八年初から昭和四九年一月末にかけて異常なまでの物価高騰を現出した。右物価指数の動きは全国平均と大阪市につき別表(二)、(三)のとおりであつて、大阪市における昭和四七年六月の消費者物価指数を一〇〇とした修正指数によると、同市における消費者物価は同月末から昭和四九年一月末までの間に実に二六パーセント上昇したことになる。

三、わが国では国の社会福祉、社会保障政策が充実していないこともあつて、国民の貯蓄性向は諸外国に比して高く、庶民は少ない所得の中から土地家屋の購入資金や子供の教育資金にあてるため貯蓄を行なつているが、右のように物価の上昇が著しくなつてくると、貯蓄の実質価値である購買力は相対的に低下し、貯金の減価という現象を生ずる。原告らの郵便貯金の昭和四九年一月三一日現在における元利合計額は別表(一)の該当欄記載のとおりであるが、前記の二六パーセントの物価上昇があつたため、右元利合計額に二六パーセントを乗じた額が減価した。その額は同表の損害額欄記載のとおりである。

四、国家賠償法に基づく請求(主位的請求)

原告らは、右のような貯金の減価により、別表(一)の損害額合計欄記載の額につき損害を受けたものであるが、右物価上昇による貯金の減価は、被告の公権力行使に当たる田中角栄内閣(第一次昭和四七年七月七日成立、第二次同年一二月二二日成立)及びその閣僚、公正取引委員会等の次のような経済政策の過誤ないし経済見通しの誤りによつてもたらされたものであり、被告は国家賠償法一条一項により、原告らの被つた損害を賠償する義務がある。

1  田中内閣の財政金融政策の過誤

田中内閣は、その成立前における経済状勢がアメリカ合衆国のドル防衛政策に伴う一時的な不況の局面に過ぎないことを知悉し、または知るべき注意義務があり、これに対処して適正な財政金融政策をとるべきであつたのに、これを怠り、昭和四七年度補正予算、昭和四八年度当初予算の作成執行においていわゆる調整インフレーション政策をとつて、財政投融資の増額、一般会計予算の大型化、国債発行高の増加を行う等、徒らに物価騰貴を招くような通貨膨張を押し進めただけでなく、右通貨膨張に伴う過剰流動性の吸収のための公定歩合の変更について、日本銀行政策委員会に対する行政指導を誤つた。

2  地価対策の過誤

田中内閣は、成立以前に続いていた地価の上昇が消費者物価の上昇にも影響を与えていることから、これが抑制のための有効適切な対策を計画立案すべき義務があるのに、これを怠り、却つて職住近接都市の開発と工場の地方分散を目的とする新国土総合開発法案等を昭和四八年三月二七日に閣議決定し、また田中首相自身もいわゆる日本列島改造論の一環として、昭和四七年七年頃から昭和四八年秋頃までの間、日本列島に高速道路網と新幹線網を張りめぐらせ、本州四国連絡橋を建設する等の国土再開発構想を内閣の重点施策として早急に実施する旨発表し、これ等が相まつて地価の上昇を見越した土地投機を促し、加えて過剰流動性を原因として形成された過剰資金が土地購入に向けられたために、昭和四七年後半以後の地価上昇率は異常なものとなり、ひいては消費者物価の高騰をもたらすに至つた。

3  石油需給見通しの過誤

田中内閣は、石油の日本経済に占める役割の重要性に鑑み、四囲の状勢を的確に判断して石油輸入の予測をたて、産業界の混乱を防止し、国民の経済生活を擁護すべき義務があるのに、これを怠り、石油輸出諸国が昭和四八年一〇月に発表した原油供給削減計画をそのまま理解して石油輸入量を予測し、その数字を基に同年一一月一六日石油供給制限を閣議決定したため、石油関連産業は石油を原材料とする製品販売価格を一斉に吊り上げ、これに伴つて関連製品の価格ひいては一般消費者物価の上昇がもたらされるに至つた。

4  不況カルテル対策の過誤

公正取引委員会は、アメリカ合衆国の米ドル為替相場切下げに端を発する世界的不況に鑑み、特定鋼材、ステンレス鋼、エキレン、中芯原紙等につき昭和四六年末頃から生産数量制限にかかるカルテル(不況カルテル)を認可していたところ、昭和四八年八月頃からの景気回復と田中内閣による刺戟的財政政策に伴い急速な需要増が始まり、需給不均衡を生ずるようになつたため、遅くとも同年一〇月頃には右不況カルテルを解消すべき法律上の注意義務があつたのに拘らず、これを同年末まで継続した結果、カルテル締結品目である基礎的原材料の供給側の対応を遅らせ、需給不均衡からそれらの価格を上昇させ、更にこれが原因となつて関連産業製品の価格も上昇し、消費者物価の急騰を招いた。

五、貯金契約上の債務の履行請求(予備的請求)

原告らの前記貯金は郵便貯金法による被告との契約であるところ、同法は国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とするものであり(一条)、郵便貯金の利率の定めとその変更は、郵便貯金が右目的のためあまねく国民大衆の利用に供される制度であることに留意して、その利益を増進し、貯蓄の増強に資するよう十分な考慮を払うべきものとされている(一二条二項)。従つて、被告は原告らの貯金を支払うに際しては、契約締結当時における貯金で経済生活上の必需物資を購入し得たものと同等程度の物資を現在において購入し得る金額を支払う義務があるというべきである。

しかるに、前記の如く原告らの貯金の名目金額は、昭和四九年一月三一日現在でその実質価値が二六パーセンと相当分だけ下落しており、名目金額では契約締結時に購入し得た必需物資を購入することができないことが明らかであつて、別表(一)の損害額欄記載の金額を支払つてこそ債務の本旨に従つた履行となるというべきである。

六、そこで、原告らは主位的に国家賠償法に基づく請求として、予備的に郵便貯金契約上の債務の履行請求として、被告に対しそれぞれ別表(一)の損害額合計欄記載の金員及びこれに対する昭和四九年二月一日から完済に至るまで民事法定利率の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

第三  請求原因に対する被告の答弁

一、請求原因一ないし三項につき、全国及び大阪市における消費者物価指数が別表(二)、(三)のとおりであること、大阪市の昭和四九年一月末当時の消費者物価が昭和四七年六月末当時のそれより約二六パーセント上昇していること、わが国の国民の貯蓄性向が高いことは認めるが、その余は争う。

二、同四項について、1のうち田中内閣が昭和四七年度補正予算、昭和四八年当初予算において財政投融資の増額、一般会計予算の大型化、国債発行高の増加を行つたこと、2のうち田中内閣が国土総合開発法案等を閣議決定し、田中首相が高速交通の整備を意欲的に推進する構想を表明したこと、3のうち田中内閣が石油輸出国等の発表した事実をふまえた上で石油需給見通しを立て、石油緊急対策要綱を閣議決定し、一部を除き実施したこと、4のうち公正取引委員会が原告主張のようないわめる不況カルテルを認可したことは、いずれも認めるが、その余は争う。

三、同五項は争う。

第四  被告の主張

一、本訴主位的請求と司法審査

1  本件は損害賠償請求であり、従つて訴訟物としては司法審査の対象となり得るものということができるが、その請求原因は、田中内閣の財政金融政策、地価対策、石油需給見通し等における過誤及び公正取引委員会の不況カルテル対策の過誤を理由とするものであるから、原告らの損害賠償請求権の存否を論ずるためには、経済政策の是非を判断しなければならないところ、これら経済諸政策の如きはそもそも適法違法を審査する法規範がなく、また通常の行政機関の自由裁量とも異なり、もつぱら内閣、国会等の政治部門に委ねられた全くの裁量に属するものであつて、裁判所の司法審査の到底及び得ないところであるから、これを前提として損害賠償請求権の存否の判断を求める原告らの請求は、それ自体失当である。

2  法治国主義は、すべての国家行為がその合法性について裁判所による審査に服すべきことを要請しているが、憲法は、法治国主義とともに、他の諸原理、例えば国民主権とか、三権分立とか、議会制民主主義とか、責任内閣制というような諸原理の上に構成されており、このことは、我が憲法上、司法審査にもおのずから限界があることを意味している。即ち政治的に重要な意味を持つ行為の当否は、民主政という憲法の根本原理からすれば、独立の地位をもち、政治的な責任のない裁判所において、弁論主義と複雑な証拠手続を中心として私人の権利保護に適すべく形成された訴訟手続によつて解決されるべきではなく、事柄の性質上、政府、国会等の権限に留保され、最終的には国民の政治的判断に委ねられているものである。

3  なお統治行為は、同一の問題が、一方において法律問題であると同時に他方においては重大なる政治問題であるという両面をもつており、この両者は密接不可分である。この場合に、法律問題は、法律問題として司法審査を受け、政治問題としては、別に政治問題として政治上の責任を負わしめるというようにしては、政治上重大な行為であつても、法律上の審査の結果違法と判定されれば、その違法がいかに末梢的なものであつても、行為全体が違法としての取扱いを受けることとなつて、収拾すべからざる結果を招来し、本来政治的に中立であるべき司法裁判所を政治的紛争の渦中に巻き込むことになる。

4  要するに高度の政治性の概念をどのように解するかによつて、裁判所の司法審査の及ばない国家行為を包括的に統治行為(政治問題)と呼ぶか、また統治行為のほかにさらに司法審査に服さない行為の存在を認める立場をとるかは別として、司法審査の及ばない事項があり、本件はこれに該当しているということである。なおこのことは憲法八一条の違憲審査権とは直接の関係がない。それはこの問題はそれに適用されるべき法規が憲法か法律かの区別によつて生じるものでなく、その行為の性格にかかる問題であり、また裁判所が法律の解釈権のみを有するか憲法解釈権をも有するかによつて本質的に変る問題ではないのであつて、その裁判所に制度的に内在する限界の存否の問題だからである。

二、原告らに対する公権力行使の欠如

1  国家賠償法一条一項の責任を肯定するためには、被害者と称する原告らに対し公務員が公権力の行使をしていなければならないところ、原告らの主張する財政金融政策の過誤とは、内閣による予算の作成及びその国会への提出並びに日本銀行政策委員会に対するいわゆる公定歩合の変更に関する行政指導に関するものであり、地価対策の過誤とは、国土総合開発法案等関係法律案の閣議決定及び列島改造の構想の発表であり、石油需給見通しの過誤も石油輸入量の予測の誤り及び各業界に対する石油供給制限の決定をいうのであつて、これらは、いずれも一般国民と区別されて特に原告らに及ぶ性質のものでなく、従つて原告らに対する公権力の行使とはいい得ないものである。また、不況カルテル対策の過誤についても、公正取引委員会が原告らに対して不況カルテル解消義務を負つているものではないことは明らかであつて、原告らに対する作為、不作為の義務違反は全く存しない。

2  本件経済諸政策の如く国民全体にあまねく波及する問題は、政府に対する政治問題として国民全体によつて判断さるべきものであり、単に訴訟上の当事者の主張によつて裁判を通じて救済を求めるべきものではない。そして立法行為であつても、やはり、私個人の権利利益が直接に毀損され、損害が生じたということが必要であるから、具体的な加害行為が理由とされなければならず、違憲立法一般について、その立法行為のみを理由に損害賠償責任を認めることは、裁判所に抽象的法令審査権がない以上できないことである。

3  原告らの論法をもつてするならば、他の郵便貯金の預金者はいうに及ばず、およそ金銭債権を有する者であれば、債権額の多寡、発生原因や債務者のいかんを問わず、すべて同様に救済されなければならないことになる。その数は予測のつかないほど膨大であり、個々の債権をいかにして把握し損失額を算定するかということになると、全く収拾のつかない事態が発生する。また、これに要する巨額の財政負担は結局納税者たる国民に転嫁されるところ、右の予測し難いほど膨大な数の債権者は同時に納税者たる国民のかなりの部分を占める者でもある。従つて、これら債権者についていうと、一旦は損失のてん補を受けながら再び税負担の形で失うという無意味な収入支出をすることになる。のみならず、国家賠償法の立法目的が国家活動によつて生じた特定の損害を社会的に公平に分担させるものであることにかんがみるときは、およそ金銭債権を有する者というように既に特殊性を失い個別的には把握し難い存在となつた膨大な不特定多数人のために、収拾のつかない事態を招いてまで救済を図ることは、国家賠償制度本来の趣旨から著しく離れた不合理なものであるといわなければならない。

4  公権力の行使が国家賠償法一条一項の中心的概念であり、また同法の立法目的が前述のようなものである以上、公権力の行使の概念規定に当たつては、ある国家活動がこれによる損害ないし損失の救済を国家賠償制度に求めるにふさわしいものであるかどうかを一つの決め手としなければならない。そうすると、その解決を政治の場に求めざるを得ないような国民全体にあまねく波及する経済上の政策決定のごときは、同項にいう公権力の行使には該当しないものというべきである。それは、公権力の行使は非権力作用や私経済作用を含むか、事実行為についてはどうかというしばしば説かれている問題とは次元を異にするものであり、むしろかかる問題以前の事柄である。

三、違法性の欠如

1  経済政策の根幹である予算は、国会の議決によつて適法に成立したものである。そもそも国家賠償法一条一項は公権力の行使による不法行為に関する規定であるから、その成立要件としての違法性は、公権力を行使する際に遵守されるべき行為規範としての実定法規に違反することを意味すると解するほかなく、従つて、公権力の行使に当たる公務員が第三者に対して負う職務上の義務に違反したことをもつて違法性の内容とすべきである。原告らは、かかる職務上の義務に関する実定法規範を明らかにしていない以上、本件においては同項の違法の要件を欠如するものといわざるを得ない。

2  違法性について更に留意しなければならないことは、原告らのいう経済に関する政策決定はそもそも違法かどうかの司法審査に全くなじまないという点である。それは既述のように当初から全面的に政治部門の裁量に委ねられ、いかなる政策を樹立すべきかの法規範も存在しない非法律的な政治の支配する領域に属するのであつて、高度の政治性という契機さえ捨象すれば法律的判断が可能であるという要素もなければ、ある限界を超えれば当、不当の批判から違法かどうかの法律的判断に入り得るという限界も存しない。

四、権利侵害の欠如

1  原告らが侵害されたと主張する権利は郵便貯金債権であるところ、右債権は依然として原告らに帰属しているのであるから、原告らは債務者に対し預金者としての本来の権利を行使すれば足るのであつて、そこに損害と区別されるべき権利侵害の事実はない。そしてこのことは被告が当該債権の債務者であると第三者であるとを問わず、また原告らに郵便貯金債権の内容として物価上昇による減価相当額を請求しうる権利があると仮定した場合でも何ら変りはない。

2  ところで、郵便貯金債権の内容として、そもそも物価上昇による減価分を請求することができるかどうかであるが、およそ金銭債権とは金銭の給付を内容とする債権であるところ、金銭は全く個性を持たず単なる名目的な価値そのものであり、その価値は、一定貨幣単位(ドルとか円とか)の一定量という形式で係数的に表現される。そして貨幣単位そのものは固定した価値を持たず、その実質的価値は、社会の総財貨との相関関係によつて定まる。従つて、形式的、係数的に定まつた一定量の貨幣の実質的価値は、物価の変動に伴つて絶えず動揺している。即ち金銭債権にあつては、貨幣の実質的価値の変動は、本来予定されているものといわなければならず、債務者は、弁済期に物価の上昇によつて貨幣価値が下落しても券面額を支払えば免責されると同時に、物価の下落によつて貨幣価値が上昇しても券面額の支払を義務付けられるのである。右の法理はそのまま郵便貯金債権についても妥当するのであつて、仮に原告らの主張するように郵便貯金の減価が債務者たる国の経済諸政策の過誤に由来するとしても、かかる問題は全く関係のない事柄である。なお郵便貯金法一条は、同法の目的を掲げたにすぎず、また同法一二条二項は、郵便貯金に付する利子の利率の決定原則を定めたものであつて、ともに物価上昇による郵便貯金の実質的減価をてん補すべき旨の趣旨ないし精神を読み取ることはできないし、他にこれをうかがわせるような規定は見当らない。従つて、郵便貯金債権であるからといつて、一般の金銭債権とは異別の扱いをし、減価分の請求権があるとすることは許されない。

五、損害の欠如

1  同一財物について、時を異にしての評価に差があるからといつて損害があることにはならない。経済情勢は常に変動しており、別個の時点での金銭的評価の結果は異なるのがむしろ常態であつて、損害を認定するためには、時を異にしての評価の差とは別に損害の発生が明らかにされることを要する。

ところで、金銭と物との割合が不変であるならば、当事者の金銭に対する名価意識と実価意識とは事実において一致する。しかしながら、実際には金銭と物との割合は不断に変動するから、物についての金銭との割合による評価即ち物価は常に変動することとなるが、それは、金銭を通して物を見ているものであつて、金銭そのものを見ているのではない。物価がいかに変動しても、法律的には金銭そのものの価値は不変であり、物価の変動によつて金銭に損害が発生したということにはならない。更に損害には現実性がなければならないが、物価指数のように一般的抽象的次元での評価方法によつて算出された減価のごときはいまだ観念的であり、また原告らのいう昭和四七年六月と昭和四九年一月の時点も原告らが任意に選択したものであつて、損害発生の時期と損害の大きさが全く不定であるということにならざるを得ないが、真に損害に該当するものであればこのようなことは許されないはずである。

2  現代の経済社会は、金銭を媒介とする商品交換を基礎として成り立つている。すなわち、金銭はすべて一定量の貨幣単位の担い手として係数的にのみ表現され、商品交換の媒介ないし決済の手段として機能する。要するに、金銭は、商品の価値測定の普遍的な基準以外の何物でもない。これが金銭の金銭たるゆえんである。右のような金銭の特異性に照らして考えるときは、金銭を通して商品の交換価値を把握するという一方通行があるのみである。金銭の購買力とか実質的価値といわれるものは、この一方通行の関係を逆の方向から観察したにすぎない。金銭にとつては、その一定量によつて何程の物を購入し得るかは、法律上本来その関知するところではない。金銭の価値は、貨幣単位の一定量として係数的に表現され、これ以外に金銭の価値の表わし方はあり得ない。すなわち、金銭には評価という観念を入れる余地がないのである。もし時と場所に応じて金銭の評価がまちまちであることを許すならば、金銭が商品交換の媒介手段たることを失わせ、その商品の普遍的な価値基準たる機能を奪い去ることになる。従つて、金銭については、時を異にする評価などあり得るはずもなく、ましてその価値の増減をもつて利得又は損害と見ることは到底許されないところである。このことは、郵便貯金であるからといつて何ら異なるところはない。

六、予備的請求について

郵便貯金債権には原告らのいうような減価分請求権はなく、また、そもそも金銭には評価したがつて価値の増減という観念はなく、郵便貯金といえどもその例外ではないことは先に述べたとおりであるから、原告らの右請求は、主張自体失当である。

第五  被告の主張に対する原告らの反論

一、司法審査の限界について

1  被告の見解は、結局高度の政治問題は司法審査の対象とならないとする統治行為論に立脚するものというべきであるが、かかる理論は、基本的人権尊重の原則にのつとり国民の権利救済に遺漏なきを期そうとした日本国憲法の解釈として、到底採用できないものである。およそ統治行為とは違法適法の判断をなしうる(従つて法規裁量行為を含む)にもかかわらずそれが高度な政治性を有するがために、司法判断に服さないとされる行為をいい、政治的行為としての側面と法律的行為としての側面があるが、少くともその法律的行為としての側面はすべて司法判断に服するものである。憲法は厳格な法治主義の原則のもとに、反憲法的国家行為はこれをすべて無効とし(九八条)、裁判所に国の行為の法適合性について最終審査権を与えている(八一条、七八条)のであつて、憲法に徴する限り、統治行為の概念を容れる余地はないといわねばならない。被告は三権分立の原則から、単純に制定法上根拠をもたない統治行為論を導き出すかの如くであるが、憲法に規定されている三権分立は他の複雑な諸要請によつて変形されており、八一条はそれ自体、当初より三権分立を超える面として憲法上措定されているのである。政治的影響の大きい行為であり、その行為の批判が選挙によつてなされるであろうということは、決してその行為の純法律的判断が不可能であるということではなく、その行為の政治的当否の批判とは全く別な法律的判断が排除される理由にはならない。

2  また原告ら主張にかかる経済諸政策は全くの自由裁量行為に属するものではなく、結局司法判断に服さざるを得ないのである。即ち、本件においては、右経済諸政策が違法なものであつたか否か、いいかえると、国家賠償法一条の構成要件たる違法性を右経済諸政策が帯有しているかどうかが問題とされるべきであるが、原告らは本件経済政策が重大な過誤を犯しており、その過誤がとりもなおさず違法であると主張しているのである。

二、公権力の行使について

本件経済諸政策は、公権力の行使に当る公務員(合議制の官庁を含む)がその職務として行なつたものであることが明らかであり、右政策が独自にまたは複合して明確な因果関係の下に原告ら主張のような物価上昇をもたらして損害を与えたものである以上、国家賠償法一条一項の要件に欠けるところはない。被告の主張の根底には、統治行為論におけると同じく、本件経済諸政策が高度に政治的な行為であり、それは結局国民の政治判断に委ねられるべきものであるとの考え方があり、それが国家賠償法の構成要件を解釈するに当つても反映しているものといわなければならないが、かかる見解は到底採用できない。例えば、広く一般国民に対するものとして立法行為があるが、国会の立法行為、地方議会の立法行為、行政立法のいずれであるにせよ、違憲立法の執行により具体的損害が生じた場合には、当該立法行為そのものの瑕疵が問題となつて、国家賠償法上、国の責任が肯定されるのである。

三、違法性ないし権利侵害について

1  国家賠償法一条一項にいう違法とは、具体的な法令違反のみに限らず、その行為が客観的に正当性を持たないことを意味しているものと解すべきである。従つて、人権の尊重、権利濫用、信義誠実、公序良俗等の諸原則や条理、慣習法等が違法性判断の基準となるのであり、裁量行為であつても、公益上の判断を誤り客観的に正当性を欠いている場合には違法である。そして被害者は単に加害行為の存在とそれによる損害の発生を主張立証すれば足り、違法性についてまで主張立証する必要はなく、むしろ被告において加害行為の適法性を主張立証すべきものであり、更に公務員の故意過失については、加害行為の立証によつて推定されるというべきである。本件経済諸政策は、いずれも行政権の行使としは著しく正当性を欠き、過誤に充ちたものであるが、物価の狂騰をもたらした経済政策の過誤が違法でなくして何であろうか。違法な経済政策をとつたからこそ物価が値上りし、原告らが主張するような損害が発生したのである。

2  憲法は、国民が幸福を追求し、健康で文化的な生活を営むための基盤として財産権を保障しているが、国は個人の経済生活安定の柱としての予備的資産ストックたる預貯金の価値を保全するために特に最大の注意を払うべきである。預貯金とは、金銭であり、消費物として動産であるが、物それ自体に価値があるのではなく、それと交換に入手出来る物資の質と量に意味があるから、預貯金という財産権を保障することは、とりもなおさず、その金銭が有する交換価値を減価させないということでなければならない。従つて、物価を狂騰させることによつて金銭の価値を下落させることは、国民個人の法益に対する最大の侵害ということになるのである。

3  被告たる国は、その機能の上で一般の私人と異なり、その人格の上でも非常に多面性を有しているのであり、本件不法行為も、債務者ととしての立場からでなく、第三者的活動の上で、一般財産権としての貯金債権を侵害したものであるから、通常の債権侵害として理解すべき事例ではない。

4  我国は金銭賠償制度をとつており、発生した損害はすべて金銭的に評価して賠償するのを原則とする。原告らは被告の不当な失政による異常な物価上昇によつて貯金債権を減価されたのであるが、これが権利侵害にもあたるものであり、その損害とは不当失政がなされた一定期間において、貯金が減価された差額である。

5  なお、原告らが昭和四七年六月末における物価指数を一〇〇とし、昭和四九年一月末日における物価指数を換算すると一二六になるということから、貯金元利金の減価を算出した根拠は以下のとおりである。まず右期間を設定したのは、昭和四七年七月に成立した第一次田中内閣以後の、政府による経済諸政策の過誤が人為的にインフレを惹起したということによつて、不法行為が開始されたものとし、それと相当因果関係にあるインフレによる物価の上昇により損害が発生した期間を特定するためであつて、決して恣意的に期間を定めているのではない。また損害額の算出につき、物価指数の両時点における差を用いたのは、社会通念からして、一般的に最も妥当な損害算出方法を考慮したものであり、これをもつて観念的な損害であつて、いまだ具体的な損害でないとする批判は当らない。

第六  証拠関係<略>

理由

第一国家賠償法による請求について

一右請求は、これを要約すると、原告らの郵便貯金は最近の著しい消費者物価の上昇の結果、その上昇率に応ずる減価を来たしたために損害を被つたところ、右物価の上昇は、被告の公権力の行使に当たる田中角栄内閣、田中首相及び公正取引委員会の経済政策ないし経済見通しの過誤に基因するものであるから、これら被告の公務員がその職務を行うにつき故意または過失によつて違法に原告らに損害を加えたものとして、国家賠償法一条一項により損害賠償を請求するというのである。そして、原告らは、具体的には(一)財政金融政策に関するものとして、内閣の調整インフレーション政策による予算の作成とその国会への提出、公定歩合の変更についての行政指導、(二)地価対策に関するものとして、国土総合開発法案等の閣議決定、首相の列島改造構想の発表、(三)石油需給見通しに関するものとして、内閣及び関係省庁による石油輸入量の予測と石油供給制限の決定、(四)不況カルテル対策に関するものとして、公正取引委員会が認可した不況カルテルの不解消等につき、前記過誤があつた旨主張している。これに対し被告はまず、このような経済政策の是非の問題は内閣、国会等の政治部門の判断に委ねられた全くの裁量に属するものであり、また高度の政治性のある事柄であつて、司法裁判所の審査権の範囲外であると主張するので、検討する。

二国の経済政策実施についての前記諸権限が、国の最高の行政機関である内閣及びその首長である内閣総理大臣、更に独占禁止法の目的達成のための行政機関である公正取引委員会等に属していることは明らかであり、また前記政策等はその影響が国民の全体に及び国政上重大な結果をもたらすものであることはいうまでもない。

ところで、一般に経済政策は、国内国外の経済情勢を基礎とし、種々の政策手段を組合わせて決定されるものであつて、右決定については、当該政策が現実の経済社会に及ぼす影響や利害得失を洞察すると共に、他の政治的、社会的、経済的な諸政策との調和を考慮する等、相互に関連する多くの複雑な要因について、長期的展望にたつての統一的、合目的的な評価と判断を経る必要があることは勿論である。

また、わが国の政治が国民生活の安定と福祉の向上という公益を目的としてなされなければならないことは憲法上の要請であり(憲法一三条、二五条)、経済政策もこの目的に沿つて適切妥当に決定されなければならないのは当然であるけれども、それは国政についての抽象的な指導原理というべきものであつて、普通個々の具体的場合にどのような手段、態様による政策を選択樹立すべきか、またはすべきでないかということは実定法上規定されておらず、また各種政策の多様化、弾力化等からして、実際このような具体的客観的基準の設定や法律的規制が困難な性質のものである。

従つて、このような過程を経てなされ、国政の運営に密接な関係をもつ経済政策の決定は、憲法の定める民主政、三権分立の建前からして、まさに行政府の使命とするところであり、自由競争、私有財産制度を基調とするわが国経済体制の枠内において、政府の政治的専門的な自由裁量に委ねられているものと解するのが相当であつて、個別的具体的紛争についての法律の解釈適用を目的とし、政治に責任を負う立場にない裁判所の司法的判断には、本質的にも適しないものというべきである。

そして、本件で問題にされている政策等が前記経済体制を逸脱するものでないことは明らかであつて、行政府がその権限内でなしたこのような政策の相当性、合理性等の評価は、本来国民の意思を代表する議会によつてなされるべきであり、究極的には国民各自の選挙や一般言論による批判にまつべきものといわねばならない。

三なお以上に述べたことは、個々の政策を実現するため具体的な法的規制措置がとられ、特定国民の権利義務に直接影響を及ぼす処分がなされた場合に、その効力を争つて抗告訴訟を提起したり、国家賠償を請求することとは別個の問題である。このような場合には関係法律との関連において右効力についての法律的判断が可能であり、裁量的処分であつても、その逸脱の有無を審査することがありうる。しかし本件はそれ以前の純政策段階の、しかも結局はその政策の当否に帰する問題であり、また原告らのいう損害なるものも国民経済の全般に波及する性質のものであるから、その是非や対策の要否等も政治的見地から検討されるべきことであつて、いまだ裁判所による司法的審査や救済に親しまないものである。

四以上のとおり本件経済政策の決定等はあげて政府の政治的裁量に属し、その当否の如きは裁判所の判断の対象外というべきであるから、これを前提とする原告らの前記請求は、爾余の点を検討するまでもなく失当であるといわなければならない。

第二貯金契約による請求について

一原告らは、郵便貯金法の目的と利率改訂についての規定の趣旨からすると、郵便貯金の支払に際しては貯金の名目金額が物価の上昇によつて下落した価額分に相当する金員を支払う義務があり、それが債務の本旨に従つた履行であるから、右金員につき貯金契約上の債務の履行を求めると主張している。

二郵便貯金法一条のとおり、郵便貯金が簡易確実な少額貯蓄の手段として広く国民大衆に利用されていることは公知の事実であり、また同法一二条二項に定めるように、利率の改訂に際しては、この点に留意し、国民大衆の利益を増進するよう十分考慮することによつて、いやしくも国民大衆の貯蓄意欲を減少させるようなことがないようにすべきことはいうまでもない。しかし原告らが請求の根拠としているこれらの規定は、その文言自体から明らかなように、郵便貯金法の目的と利率の改訂に関する基本原則を表明したに過ぎず、郵便貯金の物価の上昇による減価分を請求することができることを定めたものではなく、また右利率の改訂については他の貯蓄手段との間に適正な均衡がとれるよう一般の金融機関の利率についても配意しなければならない旨規定されているのであつて、法律上以上の点で郵便貯金債権を特別に取扱う趣旨も読み取れない。

三のみならず、債権の目的が金銭である場合には、特殊の通貨の給付をもつて債権の目的としたときは別として、債務者は弁済期において強制通用力を有する通貨をもつて債務額を支払えば足りるものとされているところ(民法四〇二条)、契約時と弁済期との間に物価が上昇していわゆる金銭価値に変動を生じたとしても、貨幣の購買力は財物の需要供給等の関係でその価格に伴いいわば常に動揺しているものであり、金銭債権はこのような経済社会において定められた一定量即ち券面額による支払で決済することを本来の性質としているものであつて、前記変動に従つて法律上当然に債権額が増額変更されるものと解することはできず、また現行法上かく解すべき根拠はない。

四従つて原告らの前記請求も以上の点ですでに排斥を免れない。

第三結論

以上のとおり、原告らの請求はいずれも失当であるから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九三条一項本文を適用した上、主文のとおり判決する。

(黒川正昭 青木敏行 松本克巳)

別表

(一) 郵便貯金額等一覧表

原告名

郵便貯金

の種類

預入金額

預入年月日

昭和四七年六月三〇日現在における元金額

昭和四九年一月三一日現在における元利合計金額

損害額

損害額合計

門内千尋

定額貯金

一〇〇、〇〇〇円

四六・四・一三

一〇七、三八二円

一一九、四八九円

三一、〇六七円

一〇〇、〇〇〇円

四七・四・二五

一〇〇、〇〇〇円

一一〇、四七一円

二八、七二二円

一〇〇、〇〇〇円

四七・五・二四

一〇〇、〇〇〇円

一一〇、四七一円

二八、七二二円

八八、五一一円

野津年行

三〇〇、〇〇〇円

四四・一一・二一

三六〇、六三三円

四〇二、七四四円

一〇四、七一三円

一〇四、七一三円

三ツ木きぬ

一〇〇、〇〇〇円

四五・一〇・三一

一一一、六七八円

一二四、七一九円

三二、四二七円

一〇〇、〇〇〇円

四六・二・二六

一〇七、三八二円

一一九、四八九円

三一、〇六七円

一〇〇、〇〇〇円

四六・七・一二

一〇三、六二五円

一一九、四八九円

三一、〇六七円

三ツ木きぬ

一〇〇、〇〇〇円

四六・一二・二九

一〇三、六二五円

一一五、三〇九円

二九、九八〇円

一二四、五四一円

川崎英樹

一〇〇、〇〇〇円

四六・一二・一八

一〇三、六二五円

一一五、三〇九円

二九、九八〇円

一五〇、〇〇〇円

四三・三・二七

一七三、七九九円

一九四、〇九四円

五〇、四六四円

一〇〇、〇〇〇円

四六・六・一五

一〇七、三八二円

一一九、四八九円

三一、〇六七円

一一一、五一一円

古屋博章

五〇〇、〇〇〇円

四六・六・七

五三六、九一〇円

五九七、四四五円

一五五、三三六円

一五五、三三六円

益川義一

六〇、〇〇〇円

四五・七・一

六七、〇〇七円

七七、六三八円

二〇、一八六円

一〇〇、〇〇〇円

四五・一二・一八

一一一、六七八円

一二四、七一九円

三二、四二七円

五〇、〇〇〇円

四六・六・二四

五三、六九一円

五九、七四五円

一五、五三四円

一五〇、〇〇〇円

四六・八・四

一五五、四三八円

一七二、九六四円

四四、九七一円

二五〇、〇〇〇円

四六・八・三

二五九、〇六三円

二八八、二七三円

七四、九五一円

二三〇、〇〇〇円

四六・八・三

二五九、〇六三円

二八八、二七三円

七四、九五一円

二〇、〇〇〇円

四六・九・四

二〇、七二五円

二三、〇六二円

五、九九六円

七、〇〇〇円

四七・一・二九

七、〇〇〇円

八、〇七二円

二、〇九九円

五〇、〇〇〇円

四七・二・二九

五〇、〇〇〇円

五五、二五六円

一四、三六一円

八〇、〇〇〇円

四七・六・二二

八〇、〇〇〇円

八八、三七七円

二二、九七八円

三〇八、四五四円

吉村兼義

三五〇、〇〇〇円

四四・四・一五

四三六、五一七円

四八七、四八七円

一二六、七四七円

一二六、七四七円

鐘ケ江テル子

五〇〇、〇〇〇円

四二・一二・四

四一七、八四六円

四六六、六五八円

一二一、五二六円

五〇〇、〇〇〇円

四二・一二・四

四一七、八四六円

四六六、六三八円

一二一、三二六円

三〇〇、〇〇〇円

四二・一二・四

四一七、八四六円

四六六、六五八円

一二一、三二六円

三〇〇、〇〇〇円

四二・一二・四

四一七、八四六円

四六六、六三八円

一二一、三二六円

三〇〇、〇〇〇円

四二・一二・一三

四一七、八四六円

四六六、六三八円

一二一、三二六円

六〇六、六三〇円

森田政治郎

一〇〇、〇〇〇円

三九・一・二八

一八〇、二二四円

二〇八、八一七円

五四、二九二円

一〇〇、〇〇〇円

四〇・一・一二

一六七、四五一円

一九三、九九四円

五〇、四五八円

一〇〇、〇〇〇円

四五・六・二九

一三四、二四八円

一四九、九二四円

三八、九八〇円

一〇〇、〇〇〇円

四四・六・一六

一二四、七一九円

一三九、二八二円

五六、二一五円

一七九、九二五円

中川ふで子

二〇〇、〇〇〇円

四三・一二・一六

二二三、三五六円

二四九、四三八円

六四、八五四円

二〇〇、〇〇〇円

四六・一二・一六

二〇七、三五〇円

二五〇、六一八円

五九、九六一円

一二四、八一五円

葛浦睦子

一〇〇、〇〇〇円

四一・五・四

一五五、五四六円

一七三、七一〇円

四五、一六五円

一〇〇、〇〇〇円

四二・七・一四

一三九、二八二円

一六一、三七九円

四一、九五九円

一〇〇、〇〇〇円

四三・八・八

一二九、三九六円

一四四、五〇五円

三七、五七一円

一二四、六九五円

吉井喜代子

二〇、〇〇〇円

四五・一二・一一

二二、三三六円

二四、九四四円

六、四八五円

二〇、〇〇〇円

四五・一二・一一

二二、三三六円

二四、九四四円

六、四八五円

五、〇〇〇円

四六・一・二六

五、三八二円

六、二五六円

一、六二一円

五、〇〇〇円

四六・三・一

五、三六九円

五、九七四円

一、五五三円

五、〇〇〇円

四六・三・二六

五、三六九円

五、九七四円

一、五五三円

五、〇〇〇円

四六・四・二六

五、三六九円

五、九七四円

一、五五三円

五、〇〇〇円

四六・五・二七

五、三六九円

五、九七四円

一、五五三円

五〇、〇〇〇円

四六・六・二五

五五、六七一円

五九、七四五円

一五、五三四円

一〇〇、〇〇〇円

四六・七・一三

一〇五、六二三円

一一九、四八九円

五一、〇六七円

五、〇〇〇円

四六・七・二四

五、一八一円

五、九七四円

一、五五三円

五、〇〇〇円

四六・八・二六

五、一八一円

五、七六五円

一、四九九円

五、〇〇〇円

四六・九・二五

五、一八一円

五、七六五円

一、四九九円

五、〇〇〇円

四六・一〇・二六

五、一八一円

五、七六五円

一、四九九円

五、〇〇〇円

四六・一一・二六

五、一八一円

五、七六五円

一、四九九円

四〇、〇〇〇円

四六・一二・一一

四一、四五〇円

四六、一二四円

一一、九九二円

五、〇〇〇円

四六・一二・七

五、一八一円

五、七六五円

一、四九九円

一〇、〇〇〇円

四七・一・八

一〇、〇〇〇円

一一、五三一円

二、九九八円

五、〇〇〇円

四七・一・二六

五、〇〇〇円

五、七六五円

一、四九九円

五、〇〇〇円

四七・二・二六

五、〇〇〇円

五、三二四円

一、四三六円

五、〇〇〇円

四七・三・二七

五、〇〇〇円

五、五二四円

一、四三六円

九五、八一三円

市道えり子

五五、〇〇〇円

四六・六・一五

五九、〇六〇円

六五、七一九円

一七、〇八七円

三五、〇〇〇円

四三・一二・一二

三九、〇八七円

四三、六三二円

一一、三五〇円

五五、〇〇〇円

四五・五・二八

六三、七二六円

七一、一六八円

一八、五〇四円

三〇、〇〇〇円

四六・七・二四

三一、〇八八円

三五、八四七円

九、五二〇円

一〇〇、〇〇〇円

四六・一一・二

一〇三、六二五円

一一五、三〇九円

二九、九八〇円

六〇、〇〇〇円

四六・一二・一一

六二、一七三円

六九、一八五円

一七、九八八円

一〇四、二二九円

牧田セツエ

八〇、〇〇〇円

四四・五・一

九九、七七三円

一一一、四二六円

二八、九七一円

二五、〇〇〇円

四四・八・二二

二七、六四九円

三〇、八七七円

八、〇二八円

二三〇、〇〇〇円

四七・五・一五

二三〇、〇〇〇円

二五四、〇八三円

六六、〇六二円

一〇三、〇六一円

辰奥久子

五〇〇、〇〇〇円

四七・一・一四

五〇〇、〇〇〇円

五七六、五四五円

一四九、九〇二円

一四九、九〇二円

玉岡克己

八六〇、〇〇〇円

四七・四・二一

八六〇、〇〇〇円

九五〇、〇五一円

二四七、〇一三円

二四七、〇一三円

高島清

六〇〇、〇〇〇円

四七・三・八

六〇〇、〇〇〇円

六六二、八二六円

一七二、五三五円

一七二、三五五円

塩貝常夫

一〇〇、〇〇〇円

四六・一二・三一

一〇五、六二五円

一一五、三〇九円

二九、九八〇円

一〇〇、〇〇〇円

四七・五・三一

一〇〇、〇〇〇円

一一〇、四七一円

二八、七二二円

一〇〇、〇〇〇円

四五・一〇・九

一一一、六七八円

一二四、七一九円

三二、四二七円

一〇〇、〇〇〇円

四六・一〇・二

一〇五、六二五円

一一五、三〇九円

二九、九八〇円

一二一、一〇九円

松川真智子

通常貯金

三〇八、七八八円

四七・三・三一

三〇八、七八八円

三二九、一二一円

八五、五七一円

五〇、〇〇〇円

四七・六・一〇

五〇、〇〇〇円

五三、〇〇四円

一三、七八二円

九九、三五二円

竹下紀久代

定額貯金

三〇〇、〇〇〇円

四六・七・二二

三一〇、八七五円

三五八、四六七円

九三、二〇一円

九三、二〇一円

小池鈴枝

五〇〇、〇〇〇円

四四・一・一四

六二三、五九三円

七二二、五二五円

一八七、八五七円

一八七、八五七円

豊田ステ子

一、〇〇〇、〇〇〇円

四六・六・二一

一、〇七三、八二〇円

一、一九四、八九〇円

三一〇、六七一円

三一〇、六七一円

久古悦子

二〇〇、〇〇〇円

四六・一〇・二七

二〇七、二五〇円

二三〇、六一八円

五九、九六一円

三〇、〇〇〇円

四七・三・一

三〇、〇〇〇円

三三、一四一円

八、六一七円

一二〇、〇〇〇円

四七・六・二九

一二〇、〇〇〇円

一三二、五六五円

三四、四六七円

一〇三、〇四五円

伊藤ふみ

三〇、〇〇〇円

四四・七・一九

三六、〇六五円

四一、七八五円

一〇、八六四円

七〇、〇〇〇円

四四・九・二

八四、一四八円

九三、九七四円

二四、四三三円

三〇、〇〇〇円

四四・一〇・一四

六〇、一〇六円

六七、一二四円

一七、四五二円

五〇、〇〇〇円

四五・四・三

五七、九三三円

六四、六九八円

一六、七二一円

二〇、〇〇〇円

四五・四・一一

二三、一七三円

二五、八七九円

六、七二九円

二〇、〇〇〇円

四五・七・二一

二二、三三六円

二五、八七九円

六、七二二円

五〇、〇〇〇円

四六・四・二〇

五三、六九一円

五九、七四五円

一五、三三四円

三〇、〇〇〇円

四六・五・一一

三二、二一三円

三三、八四七円

九、三二〇円

一〇七、八八二円

木坂一郎

七〇、〇〇〇円

四五・一二・一三

七八、一七三円

八七、三〇三円

二二、六九九円

六〇、〇〇〇円

四六・七・二

六二、一七三円

七一、六九三円

一八、六四〇円

一〇〇、〇〇〇円

四六・一二・二一

一〇三、六二三円

一一三、三〇九円

二九、九八〇円

七一、三一九円

高木たかを

通常貯金

二〇九、一三四円

四七・三・二

二〇九、一五四円

二二三、五九六円

五八、一三三円

五八、一三三円

金原金治

定額貯金

一〇、〇〇〇円

四六・三・二六

二〇、七三八円

一一、九四九円

三、一〇七円

一〇、〇〇〇円

四六・六・二八

一〇、七三八円

一一、九四九円

三、一〇七円

一〇、〇〇〇円

四六・七・二七

一〇、三六三円

一一、九四九円

三、一〇七円

一〇、〇〇〇円

四六・八・二六

一〇、三六三円

一一、五三一円

二、九九八円

二〇、〇〇〇円

四六・九・二七

二〇、七二五円

二三、〇六二円

五、九九六円

二〇、〇〇〇円

四六・一〇・二六

二〇、七二三円

二三、〇六二円

五、九九六円

二〇、〇〇〇円

四六・一一・二六

二〇、七二三円

二三、〇六二円

五、九九六円

二〇、〇〇〇円

四六・一二・二七

二〇、七二三円

二三、〇六二円

五、九九六円

二〇、〇〇〇円

四七・一・二六

二〇、〇〇〇円

二三、〇六二円

五、九九六円

二〇、〇〇〇円

四七・二・二六

二〇、〇〇〇円

二三、〇六二円

五、九九六円

四八、二九三円

小谷芳枝

五〇、〇〇〇円

四五・九・二九

五五、八三九円

六二、三六〇円

一六、二一四円

三〇、〇〇〇円

四五・一〇・三一

三三、五〇三円

三七、四一六円

九、七二八円

三〇、〇〇〇円

四五・一二・一

三三、五〇三円

三七、四一六円

九、七二八円

九〇、〇〇〇円

四五・一二・二八

一〇〇、五一〇円

一一二、二四七円

二九、一八四円

三〇、〇〇〇円

四六・一・二八

三二、二九二円

三七、四一六円

九、七二八円

三〇、〇〇〇円

四六・二・二七

三二、二一五円

三三、八四七円

九、三二〇円

五〇、〇〇〇円

四六・四・三〇

五三、六九一円

五九、七四五円

一五、三三四円

三〇、〇〇〇円

四六・五・二八

三二、二一五円

三五、八四七円

九、三二〇円

三〇、〇〇〇円

四六・六・二六

三二、二一五円

三五、八四七円

九、三二〇円

八〇、〇〇〇円

四六・七・二六

八二、九〇〇円

九五、五九一円

二四、八五四円

一四二、九三〇円

別表(二) 消費者物価指数の動き(全国)

昭和三六年から昭和四七年まで

対前年上昇率 %

三六

4.2

三七

5.6

三八

6.9

三九

4.4

四〇

6.6

四一

5.5

四二

3.3

四三

5.4

四四

5.2

四五

6.0

四六

6.5

四七

4.5

昭和四八年一月から昭和四九年一月まで

対前年同月比

(四五年=100)

四八年一月

6.2

6.7

8.4

9.4

10.9

11.1

11.9

12.0

14.6

一〇

14.2

一一

15.9

一二

19.1

四九年一月

28.1

別表

(三) 消費者物価指数の動き(総合・大阪市)

年度

指総

(四五年=100)

対前月比

対前年同月比

指数

(四七年六月=100)

昭和

四七年一月

106.2

-0.3%

3.1%

96.7

106.9

0.7

3.4

97.4

108.2

1.2

4.8

98.5

109.7

1.4

4.1

99.9

110.8

1.0

5.6

100.9

109.8

-0.9

8.9

100.0

108.7

-1.0

8.0

99.0

109.5

0.7

8.5

99.7

110.8

0.7

1.9

100.5

一〇

111.0

0.7

2.8

101.1

一一

110.8

-0.6

3.5

100.5

一二

110.9

0.5

4.1

101.0

四八年一月

111.4

0.5

4.9

101.5

113.2

1.6

5.9

103.1

116.0

2.5

7.2

105.6

118.6

2.2

8.1

108.0

120.5

1.6

8.6

109.7

121.0

0.4

10.2

110.2

122.1

0.9

12.8

111.2

122.4

0.2

11.8

111.5

127.2

8.9

15.3

115.8

一〇

128.2

0.8

15.5

116.8

一一

129.3

0.9

17.2

117.8

一二

138.2

8.0

20.1

121.3

四九年一月

138.4

3.9

24.2

126.0

148.7

3.8

26.9

180.9

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例